在韓米軍撤退と台湾 by 白川司

アメリカが台湾に新しい領事館ビルを作った(正確には「台北経済文化代表処」)。言うまでもなく、実質的なアメリカ大使館だ。総工費2億5500万ドル(280億円)だから、重要なものであるのは間違いない。

アメリカ外交の核心はすでに北朝鮮を離れて、対中国に向かっている。北朝鮮との合意で北朝鮮側の要求ばかりが通ったように見えるのはもちろん表向きであって、トランプ大統領が「もう北朝鮮の核兵器に恐る必要はなくなった」と明言していることからも、アメリカの意図に合った裏合意があったのだろう。

北朝鮮がのっぴきならない状態であることは、「在韓米軍の撤退」にまで言及したことからもわかる。北朝鮮軍部では今回の件で不満が鬱積してクーデーターもないとは限らない。アメリカは常に金正恩に点数を稼がせて、国内でも足場を安定させる必要がある。

現在、アメリカが重視するのはもちろん対中政策で、そのカナメが日米関係、フィリピン、そして台湾だ。人民解放軍に太平洋進出をさせないためには、この3国のラインで中国を封じ込める必要があるからだ。だから、この領事館はそのための情報センターの役目をする。

もし在韓米軍が撤退するなら、次にやるべきはその米軍を台湾に置くことだろう。それにはかなりの時間がかかるが、在韓米軍撤退とセットでやれば道理は通る。

今回の落成式では蔡英文相当が出席したが、アメリカ側は中国を考慮して高官は送らなかったが(教育等担当の次官補のマリー・ルイス氏だけ)、台湾旅行法とあわせて、着々と対中国包囲網は進んでいる。

韓国はすでにアメリカの対中防衛ラインからはほぼ外されたと見ていいだろう。これからは、米中で台湾争奪戦が本格的に始まる。中国ができるのは軍事的圧力だけだが、アメリカは旅行法、新「大使館」と着々と歩を進めている。

【参考文献】
New York Times
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プロフィール

白川司

Author:白川司
ライター・翻訳家。東京大学大学院博士課程満期中退。国際関係、言語学、心理学など複数の分野に精通している。『月刊WiLL』にて連載「Non-Fake News」を執筆中。翻訳書に『クリエイティブ・シンキング入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)ほか。

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